末吉神社の据石伝説

阿伝の末吉神社の境内に大きな岩がありますが、この岩には次のような話が伝えられています。
昔、阿伝に一人の漁師がいました。朝早く漁に出ていると、波の間に浮き沈みながら船に近ずく不思議な石がありました。見ると軽石でも多孔石でもない綺麗な格好をしています。漁師はそれを拾い家に持ち帰り庭先に飾り日毎眺めていました。
月日が流れ、石も苔むした頃、後世の家族がその石を他の石と一緒に石垣に積んでしまいました。しかも、その近くに豚小屋を建ててしまいました。
その後、その家では豚が育たず家族も重病で苦しんだので、ユタに頼んで屋敷のお祓いをさせたところ、ユタはその石を見て
「この石は神石であるのに不浄な場所においた神罰であるから、早く洗い清め据石の森の中に神域を定め移し祀って拝むように」
との御告げを受けたということから今の所に安置されたといわれています。
肉類を持った人や、稚児がその前を通ると悪霊が乗り移るといわれ、石の後方を通ったそうです。又、他の人が通る時でも、その石のくぼみに小石を置いて参拝をしながら通っていたそうです。

関連記事

  1. ウラトミ・ムチャカナ母娘の伝説

  2. 親子

  3. 隠れ里(かくれざと)

  4. 花熟み田(はなうみだー)

  5. 天女の羽衣(てんにょのはごろも)

  6. ソテツ王